フェラーリ330P4 その1 ボディーの整え

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半年もかかったクレマーポルシェ、毎回あんなことをやっていたら体が持たないので、今回は比較的さらっと作ります。

ただ新作を作る時には、いつも新しいことにチャレンジしたり、テーマをはっきり決めて工作したいとも思っています。

今回のテーマは「コストパフォーマンス」にしました。できるだけ安いコストで一台作れるよう、頑張ります。

「コスト(原価)」と言えばまずはキット・塗料・改造素材などの購入価格(原材料費)が思い浮かびますが、それよりもはるかに高くつくのが労務費、つまり工作時間だと思います。

例えば一台作るのに30時間かかったとしましょう。時間単価を仮に1000円とした場合、キットと塗料代を5000円としても原価は35000円になっちゃうわけです。

(その他にも光熱費や消耗工具などを入れ始めたらキリがないので、単純に考えます)

模型はどんどん作り込んでいけば仕上げに見返りがあることも知っていますが、それでは数がこなせない。このあたりのバランスを考えながら、なるべく短時間で「そこそこ」の完成品 を作りたいと思うわけです。

 

また一台当たりの製造原価を下げるためには、同時に複数作ることも効果的だと思います。塗装などもまとめて進めれば効率的ですしね。

 

そこで今回は、ちょっと前にフリマで手に入れたフジミのフェラーリ330P4と、追加で購入した同じキットを加えた二台を同時制作したいと思います。

まず一台目、フリマで買った方を確認。

1967年のルマンで2位に入った21号車(シャーシナンバー0858)ですね。

箱を見たら郵便番号が3ケタなんで、少なくとも十数年前に販売されたキットでしょう。

もう一台、クリヤマ模型で買ってきたのはこっち。やはり1967年のデイトナで3位に入った26号車(シャーシナンバー0844)です。

二台はゼッケンが違うだけで、 やることはほぼ同じでしょ? と思ってそうしました。

 

だが、良く見るとこの記述が気になる・・・。

「実際の1967年デイトナレースに出場した車輛とは異なります」

・・・いや、そういうことをさりげなく言って欲しくないんですけど・・・。異ならないキットを売ってほしいんですけど・・・、不安なんですけど! と思いながら実車の確認をしたら、確かに違うところが結構ありましたわ。

そもそもデイトナの26号車はワークスではなくプライベートチームの車両で、車種も330P4ではなく412P。ボディーなどは330P4のカウルを利用するなどしていますが 、ぱっと見た感じでもこんなところが違っています。

・ホイールは別物、色は水色
(写真の左がキットのカンパニョーロ金色星型ホイール、右はフジミのディーノ206GTからちょっと拝借したもの。実車はまあこんな感じ )

・タイヤがファイアストンではなくグッドイヤー

・ルーフの形状が異なる

・リアウインドウの大きさ、左右の窓の大きさなど、色々なバランスが違う

・サイドポンツーンのディテールが違う

・バックミラーが普通の形
(キットのミラーはルマンで使われたもの)

・ノーズの小さな空気取り入れ孔の位置と数が違う

・リアカバー前方下側のパネルカットラインが違う

・ワイパーの付根付近に箱状の出っ張りがあったり色々違う

・その他細かい所が色々違う

つまりこのキット、330P4としては正確にできているものの、デイトナ出場車でございますと言った瞬間にウソの塊になります。

ちなみにフェラーリ勢はデイトナ24時間で1〜3位を独占しているんですが、1位はバルケッタ(オープンボディー)で形状が全く異なっています。一方2位の330P4はワークスでホイールもカンパニョーロ(金色星形)。 ボディーもキットのようなクーペボディーだから、そっちをキットにしたなら 、

「実際の1967年デイトナレースに出場した車輛とは”微妙に”異なります」

程度で済んだはずなのに、ちょっと不思議ですね。

 

そんなわけで、追加の一個もルマン21号車にすればよかったなと思うものの、 もう買ったものは仕方ない。

かと言って一番目立つホイールをこのままにはしたくないので、しょうがないからフジミのディーノ206GTからホイールをいただいて使うことにしま した。

ただ、ちょっとサイズが合わなかったので、このようにプラ板を巻いて直径拡大。

こんな感じになりました。

フジミのディーノには後ほど330P4のホイールを戻しておきます。

(あれはひろっしJPディーノの比較用に作ったので、特に思い入れはないんです)

 
さてデイトナ26号車のホイールは脇に置いて、まずはいじるところの少ないルマン21号車から仮組み開始します。

(わかりやすいよう、これからはルマン21号車はピンク、デイトナ26号車は水色の背景にします)

ボディーには繊細なリベットが表現されていて、好ましいと同時に悩ましいです。

なぜならりベットは研ぎ出しの邪魔になり、そもそもこのリベットをつぶさないようにするには、塗料もあんまり厚くは塗れない。研ぎ出しには良い条件とは言えなくなります。

そこで今回はなるべく研ぎ出しはやらない、やるとしても最小限で済ますことを狙います。その方が制作時間も短くなって「原価」も下がりますから。

シャーシはなかなか良くできていますね。

特に大きな修正は必要ないようです。

ボディーノーズの先端左右に小さなダクトがあります。

特に気にせず、完成後に黒でも流し込めば問題ないのでしょうが・・・、

手が勝手に動いて、くり抜いてしまいました。

リアはちょっといただけない。

本来別パーツになるべきスポイラーが、一体成型されてます。

大して面倒でもないのでちょっと工作。
一方デイトナ26号車(412P) のノーズの小さなダクトは中央一か所だけなので一応修正。
屋根の形状も違うので修正。

330P4にある二つの出っ張りを削ることにします。

削ったところは新たに伸ばしランナーでリベットを再現。
そして先端をぎりぎりまで削って丸みをつける。

ちなみに三つのくぼみは工作終了後に正確な写真を発見。こういう形状じゃなかったので、後ほど修正予定。

 

いやー、だんだん結構面倒なことになってしまいました。

ただ今回のテーマはコストパフォーマンス。こういう改造にかかった時間は別カウントしておきますね。

サイドにも目を転じると、やっぱり違いが気になる。
ここまできちゃったら、もう、やることはやってしまおう。

0.3ミリのピンバイスで穴をあけ、伸ばしランナーを一本一本通して行き、途中でピンバイスを折って「消耗工具費がぁ〜」と叫びながら新たなピンバイスを出して作業継続。

先端をカットして丸めて、出来がよくわからないから軽くサフを吹いてみる。

もともとのリベットと、新たに打ったリベットの差があんまりわからないから、合格。

このあたりや・・・、
このあたりも修正。

カウリングの分割ラインも違うようです。

修正は大体こんなところかなとも思ったが、ここが違うのをやっぱり無視できない。
透明パーツは使えなくなるので、事前におゆまるで型を取って・・・、
塩ビ板を絞る作業は事前にやっておきました。
この一連の作業でリベットはほとんど削っちゃいましたから 、まあこうするしかないわけですが、自分でも「何でこんな面倒なことを」と思いながらやっていることは否定しません。

でもやっていて楽しいことは間違いないし、完成した時に二台並べて”にんまり”できるなら嬉しいはず。

ちなみに伸ばしランナーですが、同じ太さにするのではなく、0.3ミリの孔にすっと入りきゅっと止まったところでカットできるよう、テーパ状に引き伸ばしています。

また、伸ばす時にちょっと止めてからまた引く作業を繰り返すことで、一回の作業で10本くらい確保できます。結構効率的でしょ?

 

ところが写真のところまでリベットを打った時点で、2本目の0.3ミリピンバイスを折損。作業中断。

翌日クリヤマさん(写真左後方、3階建)に走ります。

0.3ミリのピンバイス用ドリル、タミヤからは通常のタイプ(ストレートドリス)と、チャックに取り付ける部分が太くなっているピボットタイプが出ています。
ピボットタイプはちょっと高いですけど、今回は「折れにくい」って触れ込みを信じ、こっちを使ってみます。
使い始めたら、これがなかなか良い。しっかりと力も入るので作業効率は格段に向上しています。
ぐるっと一周してこんな感じ。

先端はもうちょっとちゃんと仕上げます。

その他にも色々リベットを追加し、結局リベット打ちにかかった時間は14時間・・・。

ちなみにこの作業中、三本目のピンバイスを折っちゃいましたが、これは無理な力をかけた私の明らかなミス。

ピボットタイプのドリルは気を抜かずに作業していればなかなか折れない優れもの。結局安い買い物になるような気がします。

フロント部分もこんなになりました。

で、ここまでの工作時間は、

・二台の素組み作業部分・・・11時間
・412Pへの改造部分・・・28.5時間

となってます。なんてこった。

でもここまで来たら、後は塗装と組み立てだけ。もう終わったも同然さ・・・っていつも言ってる。

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