可搬自立式コンテナ

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今年3月に発表させて頂いたK製作所さんからの依頼品の「診察ボックス」模型に続き、今回は「可搬自立式コンテナ」模型を製作しました。

 実物解説

このコンテナはクレーンなどの外部の力に頼らずに、自分の力で自立し、トラックの荷台に搭載されて移動・可搬が出来る構造になっています。

コンテナの用途・目的に合わせ、全てオーダーメイドで設計・製作されています。

コンテナ自立はコンテナ前後に取付けられた「アウトリガー」に依ります。 アウトリガーは幅方向に引出し可能で、更に油圧で上下方向に脚を伸縮できます。

今回製作した模型は、ある会社さんに納入された特殊用途コンテナを基に製作しました。 

(コンテナ本体サイズ:長さ6.0m×幅2.2m×高さ2.7m 重量:約8.5トン)

 模型説明

製作にあたっては単にコンテナ単体のみならず、その移動・可搬作業の流れが判るようにミニサイズでも製作しました。 

コンテナ単体は縮尺1/40で、ミニサイズの方は縮尺1/150としました。


 コンテナ単体模型の説明(縮尺1/40)

(1)コンテナ本体

板厚1.0mm、1.5mmのプラバンや角プラ棒等で箱組みし、各所のルーバーは四角穴開け 後、裏から筋彫りしたプラ板を嵌め込みました。入口扉部は開口部を一段引っ込めてあります。

その他、点検扉部や窓周り、外板パネル端部等は筋彫りで表現。 外板パネルの重ね目は実物では薄板でカバーが付いているので、プラ帯板を貼りました。 各所扉部や窓部上には雨樋があるので、この辺もプラ角棒をL型に加工して接着。

 

(2)アウトリガー部

アウトリガーは幅方向にスライドして拡幅可能、高さ方向で脚が伸縮可能構造です。

 実物は全て鉄鋼製角パイプ製で3種類(200、175、150角)のサイズを駆使して、それぞれピッタリとガタ無くスライド出来るのものを使っています。

ここが一番の肝となるので、今回は頑張って全て金属(真鍮)で製作しました。

模型でこれを再現するため、素材探しから始めました。

当初一般的な市販品では中々無く、かなり時間を要しました。

それで漸く見つけたものが「プレシジョン メタル」製真鍮角パイプで、5.55mm角・板厚0.353mm、4.76mm角・板厚0.353mm、3.96mm角・板厚0.353mmの3種類。  

それぞれの角パイプはピッタリと殆どガタ無くスムーズに嵌り込みます。

角パイプの切り出し長さも凄く精度が要求されるため、別途小さな電動式メタルカッティングソーを購入しました。
それぞれ切り出した真鍮角パイプや取付け用ブラケット等の組立ては全部ハンダ付けで組立てますが、縦横の寸法精度や直角精度・平行精度をキッチリ出さないとスムーズな引出し動作が出来ないため、いろいろな治具を作って工作をしました。

昔々、私が鉄道模型製作が好きで、HOゲージで蒸気機関車をスクラッチ製作していたので、その時の事を思い出しながら、指先が熱くなるのを我慢しながらひたすらハンダ鏝と塩化亜鉛溶液のジューッ!という蒸発と格闘してました。

(3)アウトリガーユニットはコンテナ本体の前後面に片側で8ヶ所の取付けブラケットがあり、それぞれ3ヶ所にM24の六角ボルトで取付けられています。(合計24本)

模型でもコンテナ前後面に40分の1に相当するS0.6のタップを立て、同サイズのSUSビスで取付けしました。 当初各ブラケット8ヶ所全部にS0.6ビス取付けと考えましたが、数が多いため、ビスは下段のブラケット中央・合計4本のみとしました。 

その他の部分はアドラーズネストの0.6mm六角ボルトヘッドを飾りとして埋め込みました。

但し、あまりにも数多いのでこちらも上段の見えるブラケットのみとしました。

(後で考えてみたら、飾りボルトは別として、取付けビスはなにも高価なS0.6ビスを使わなくても安価なM1.0ビスにすれば良かったかな〜と思っています)

参考までに各種ビスを並べて写真を撮りました。中央上からM2.0、M1.0、φ0.6ボルトヘッド、S0.6SUSビス、S0.6タップです。 十字ドライバーも最小のものを探しました。

(4)脚部に付く油圧ユニット箱と前方アウトリガー中央に付く制御盤箱はプラ材で製作し、塗装後に接着取付けとしました。

また、それぞれのアウトリガー中央下には「アウトリガー敷板」を収納するケースがあるので、これらもプラ板で作り、敷板も実際に取り出す事もできます。

(写真は完成後のもの)

 

 ( 右および下の写真は7月の柏崎模型展示会で展示した時のもので、制御箱類は両面テープで仮固定。 屋根上の丸いものはガーランドベンチレーターで、模型では手芸用のボタン材料を用いました)

(5)塗装・仕上げ等

コンテナ本体はサフェーサー吹きの後、全面的にクレオスのC69「グランプリホワイト」を吹付けました。 

アウトリガー部は全金属製なので、先にガイヤノーツの「マルチプライマー・アドバンス」を吹付け、その後出来るだけ薄くサフ→グランプリホワイトを吹付けました。
ただ危惧していたように、やはり塗装後は塗膜厚みで横への引出しが渋くなりました。

アウトリガー脚部は当初黒染め液で染めてみましたが、液が相当旧かったせいか、斑になったので、黒プラサフ塗装としました。





塗装後、引違い窓ガラス・扉部ガラスを入れ、外装の赤いパトライトや細々した部品を接着しました。

最後に扉周囲や点検扉周囲には濃いめのスミ入れ、ルーバー部には薄めのスミ入れをし、各種デカールを貼って完成しました。

 
 ミニサイズコンテナ模型の説明(縮尺1/150)

冒頭で記したように、このコンテナの移動・可搬作業の流れが判るようにミニサイズも製作しまし た。 

通常のコンテナの多くは一度設置したら移動の際はクレーン車が必要になると思います。 それをコンテナ自身の力で地面から立ち上がって自立して、トラックの荷台に簡単に載せられるように考えられたものです。

そのため、模型展示ショーケース内で動かない模型でも各作業工程姿を表現する為に、複数台のミニサイズコンテナを並べて表そうと考えました。 表現した姿として、
@コンテナ設置・稼働状態 
A移設準備開始状態 
B自立後、トラック引込み状態 
C搭載状態 

の4形態としました。

(1)ミニサイズの縮尺は鉄道模型のNゲージサイズの1/150としました。

トラックのネタ車としてしてトミーテックの「日本フレートライナー・コンテナセット(日野とUDの2車種)」の中の日野車を選びました。 

ただ、既に絶版になってたので、ヤフオクで何とか2セットを確保し、ついでに参考までにバンダイのワーキングビークルの日野車も準備しました。

写真の中央と左端はトミー製のセット中、余ったUD車で、右端はバンダイ製の日野車です。

(2)ミニコンテナ本体は1.0mmプラ板の箱組みです。 側面のディテールは側面図をPCに取り込んで、1/150サイズに縮小して、アルプスMDプリンターで印刷したデカールを塗装後に貼り込みました。

印刷時には他のロゴや展示台に貼る説明文等も一緒に印刷しました。

(3)ミニコンテナのアウトリガー

ミニコンテナは4台作るので、アウトリガーは全部で8セット必要になります。

兎に角形状が複雑でとても8セット全部を自作する力もないので、原型を1セットのみ作り、あとは友人の模型電動士さんに複製を依頼しました。

(この辺の事は電動士さんのHPでご覧になれます)

 

 

 

 

この複製アウトリガーをそれぞれの形態に合わせて幅を縮めたり、脚を縮めたりしました。

(4)ミニコンテナ展示台はプラ板とプラ角棒で製作し、ガンメタル色で塗装。

トラックの荷台は床面に薄いプラ板を張り込み、キャブ後ろに鳥居を追加し、アルミブロック煽りを自作しました。

それぞれのコンテナ、トラックを展示台下面からビス止めしました。

これだけではまだ作業の動きがはっきりしないので、Nゲージの人形を立たせてみました。

尚、トラック前面のHマークにはK製作所さんの旧いロゴマークを貼り込みました。 その後、展示台に説明文を貼り込んで完成となりました。



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