フルスクラッチの楽しさ

今回製作した住江(すみえ)製作所の「フライングフェザー」を知る人は少ないでしょう。

このクルマが開発された昭和28年は、ちょうど国内メーカーが海外メーカーと契約を結び、オースチン、ルノー、ヒルマンなどをライセンス生産し始めた時期にあたります(純国産のクラウンの登場は昭和30年)。

しかし、その当時、一般的なクルマの価格は100万円レベルで、とても庶民が買えるものではありませんでした。

フライングフェザーは大衆でも手の届くクルマを目指して開発されました。

空冷V型2気筒350CCエンジンはわずか12.5馬力、タイヤはワイヤースポークと、まるでバイクにボディーをかぶせたようなクルマです。

価格は30万円、だが商業的には必ずしも成功とは言えませんでした。まだ一般庶民にはマイカーは早すぎた夢だったのです。

ちなみに昭和30年に通産省が示した国民車構想に基づき、スバル360が開発・発売されるのは、昭和33年になります。

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さて、何でこのようなクルマを作ろうと思ったのか・・。

○ 「Midnight Cruising」さんと「おきらく模型館」さんの共同企画、「スモールカーガレージ」へ参加するクルマ、どうしようかな〜。せっかくだからウケを狙うか。

○ となると、フルスクラッチもいいなあ。

○ なぜかこんな(→)CDが手に入った。

○ 「スモールカー」と来たら、やっぱり昔のクルマがいいなあ。

○ フライングフェザーってワイヤースポークホイールだなあ。一度作ってみたいものだ。

などの思いが、もやもやとしたところから具体性を帯びてきて・・。

  フルスクラッチって大変なのか

確かに大変は大変ですが、工作過程をご覧いただければおわかりのように、プラ板とパテと真鍮線があれば、後はコツコツ作るだけです。特別な道具や材料は使っていません。

そうして手にした一台は、ただひとつのオリジナル(はあと)。

 

資料が少なく時間も限られていたため、かなり想像やごまかしがあるものの、作り終えたときの満足感は、特別のものがあります。

何しろ完成できるという保証はどこもないのですから・・。

 

 

 

完成した作品を眺めながらグビっと一杯・・この充実感は格別です。